五線親父の縁側日誌

永遠の70年代男・テリー横田の日誌です。

筆者は田舎の初老爺、下手の横好きアマチュア作曲屋、70年代洋楽ポップス愛好家、70年代少女漫画愛好家、
女子ヴァリボ&フィギュアスケートオタ、Negicco在宅応援組です。

BSライブ中継2題


BSで、日本のベテランバンドのコンサート中継を2本、観る機会がありました。


ひとつは玉置浩二のソロライブ。彼ももう50か。白髪頭の長髪が山ん姥みたいで変な迫力が出たなあ。でもこの人の音楽は本当に変わったと思う。バブル期に全盛だった安全地帯の、あの男ながらに妖艶な、肉感的なヴォイスが、すっかりなくなってしまったのだ。


いや、声が衰えたのではなく、自分のヴォーカルスタイルをあえて変えたのだという。「ヴィブラートを押さえるようにしたんです。ある日突然、自分の歌い方が嫌になって。俺はまっすぐ声を伝えてないと思った。やってみるとこっちの方が遙かに難しい」と。そのせいか、本当に歌詞がしみじみ伝わるようになった。「メロディ」「田園」などは本当に名曲だと思う。サウンドも、よりシンプルで豪快で、ごりっとしたロックへ向かっているし。


本当はこの人は、素朴な生き方をすべきだったのに、いろいろあって紆余曲折してしまったのかもしれない。やっと素直になれたのかもしれないなあ。


もういっこは結成35年という「チューリップ」財津和夫率いる、まさに日本のトップバンドの一つだ。


このバンドは、いい意味で変わらない。ビートルズをベースに、ポップなメロディと、ロックとは言い難い、やや軟弱な(笑)歌世界。全員が作詞作曲歌をこなせて、それでいながら、リーダー財津が、時に歌わず裏に徹しながらも、びしっと全体を締める。日本ではどこにでもありそうで、実は無いバンドだったんですね。


で、この世界を頑固に崩さず、ここまでやり続けてやりきったのは、ある意味すごいなあと、しみじみ感心しながら聞いていました。「心の旅」「魔法の黄色い靴」「僕が作った愛の歌」70年代の彼らの名曲は、好みの問題なんだろうけど、私はなんとなく収まりが悪い気がする。メロ展開に無理が感じられたり、詞が綺麗に乗ってなかったり、どうにも短所の部分が耳につく。ファンの人にはゴメンですが、コブクロ、スキマ等、今のJポップの楽曲と比べると、作詞作曲の技術がスムーズではなく感じてしまう。個々のメンバーの楽器の腕も、今となっては、もっとうまいアマチュアがたくさんいる。


しかしそれでも、弱点を抱えながらも「伝わる演奏」をするのが、やはりトップバンドだなと思う。音楽を伝えることに徹し無駄がないのだ。長年同じメンバーでやってるあうんの呼吸がすごい。


面白いのはフロントの二人(財津、姫野)が、曲によっては2人ともキーボードの席に座ってしまう。これ、バンドの絵面的にちょっとみっともないと思うのだよね。


「もうコンサートツアーは、やれるかどうかわかりません」と財津氏が言っていたけど、クラプトンやストーンズを見習って、またやってほしいと思います。