五線親父の縁側日誌

永遠の70年代男・テリー横田の日誌です。

筆者は田舎の初老爺、下手の横好きアマチュア作曲屋、70年代洋楽ポップス愛好家、70年代少女漫画愛好家、
女子ヴァリボ&フィギュアスケートオタ、Negicco在宅応援組です。

画期的に面白い曲ーEspecia「Abyss」ー


■Especia「Abyss」


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エスペシアの「アビス」この曲は画期的に「変」で面白い!初めて聴いた時には「なんじゃこりゃ、失敗作じゃないのか」と違和感を覚えたほど。でも聴いていくに従って、だんだん面白くなって来ました。というわけで、メンバー脱退劇についてはさておき(爆)今回は楽曲分析(^^;)。


「どこが変なのか、昔からのAORの典型ではないか」確かにそうなんですけど、問題は歌メロの音程と、構成に有るんです。


まず出だし、「やーさーしーい~」は、音程が徐々に高くなっていく「上行メロ」です。通常、上がったものは下げなくては不自然です。ところがこれは、まだまだ上がる。「う~みの色」も上行。「透き通る、雲」の「く」で最高音に達し、ようやく下降する。実に歌いづらい、常識はずれの作曲です。この動きは普通だと、サビメロに使う動きです。平歌のど真ん中に最高音が来てるしね。


Bメロは低めで、比較的落ち着いて動く。で、サビに当たるCメロ「誰もいない~」が、歌のサビではなく、イントロのギターリフをそのまま使う。ここの繰り返しメロも低めで、お世辞にも盛り上げる感じはしない。


曲の構成が、普通のと逆なんですね。平歌とサビの作り方が逆転している。でも「サビ前」と呼ばれる形式……一番キャッチーな覚えてほしい部分を先にバーンと出す……のでもないんです。どんなに音程が高くても平歌は平歌、どんなに低くて盛り上がらなくても、やっぱりあのリフがサビなんですね。


この曲はインドシアのバンド「イックバル」のリーダー「イック君」が作曲しています。彼は、日本の歌謡曲の「手垢にまみれた」伝統を知らないので、こういうアナーキーな、画期的な、曲が書けているのかもしれません。いやひょっとしたら、ビートルズとかメリケンポップスの伝統的名曲も、あまり良く知らないのかも……と云うのは、彼に失礼か(^^;)。


実を言うと私は、まだあんまりこの曲を「良いなあ~」とは、思えていません。私の感性が保守的なんでしょうね。