五線親父の縁側日誌

永遠の70年代男・テリー横田の日誌です。

筆者は田舎の初老爺、下手の横好きアマチュア作曲屋、70年代洋楽ポップス愛好家、70年代少女漫画愛好家、
女子ヴァリボ&フィギュアスケートオタ、Negicco在宅応援組です。

ポップス構成講座

桜散らしの風雨にしては強いようです。被害も出たとか、お見舞い申し上げます。我が地方も桜はつぼみのまま「ウッ!」といって咲くのをやめた感じです。次晴れたら咲くでしょう。というわけで、福島へ来るなら今週末か来週、山の観光地は来週末かな、桜が見頃ですよ。

で、それとは関係ない話。

今回はちょっと、ポップスの楽曲について、プチお勉強講座を開いてみましょう。題して「ポップスの曲段落構成について」。さて、いきますよ!

3つほど図に例を書いてみました。それぞれイントロから1番ワンコーラス、そして間奏までを抜粋してあります。

左は一番シンプルで古くから有る「AA'BA'」という形式です。Aメロ(平歌)を2回繰り返しますが、1回目と2回目では形が若干違いますね。で、Bのサビをやってから、また平歌2回目メロ(A')が再現される形式です。手前共の歌の例で恐縮ですが「土曜の朝のイマジン」という曲がこれにあたります。

●「土曜の朝のイマジン」

http://www.geocities.jp/terryyokota/songs/doyouno.html

真ん中は「AA'BC」形式、平歌とサビの間に繋ぎの段落が入った形です。これは60年代~70年代、ロック&ポップスが拡大していく中で生まれてきた、比較的新しい形式です。現代ポップスではこの形式が一番多いかも知れません。手前共の例では「結婚するよ」等がそうです。

●「結婚するよ」

http://page.freett.com/terryyokota/songs/marriage.html

右側はいきなりサビが頭に来る「サビ前」と言う形式の例です。これもよくある形式ですね。インパクトを強く押しだしたい曲の時に使いますが、サビメロ・詞の魅力が薄いととたんに大コケしてしまう、危険性をはらんだ形式でもあります。手前共の例では「かかとが痛い」が、これにあたります。

●「かかとが痛い」

http://page.freett.com/terryyokota/songs/kakato.html

で、それぞれの段落に「続く感じ」「終わる感じ」と書いてあります。これは、その段落の最後にさしかかったときの曲の「感じ」を表しています。皆さんは曲を聴いていると「あーなんとなくまだ続くんだな」「あーなんか区切りがついて終わったな」と、感じ取れる場面が、あるでしょ? そのことです。そこには、厳密ではないですが、法則性・決まりのようなものが存在していて、だいたいこの構成図のようになっている……はずです。この「感じの法則……終止感と持続感」は、和音に秘密があるのですが、専門的になるので今回は省略。とにかく、この法則から外れると、とたんに曲が不自然なものに感じられたりするから不思議です。

この「ポップスの構成」について知っておくことは、作曲家は勿論ですが、むしろ作詞家さんのほうが、より主導権を持って決めていくのが通常です。一時、小室サウンド全盛の頃とか(核爆)日本のポップスの詞が、すっごいつまんなかった時期がありました。それは「曲先(きょくせん)」といって、メロを先につくって、後からそこに詞を「はめこんで」いく、作曲家主導の音楽づくりが多かったせいだと、私は考えます。ここ数年は逆に昔ながらの「詞先(しせん)」……詞に曲を付ける手法が戻ってきました。こっちのほうがやはり自然です。しかしこの場合は作詞家さんが曲構成、ポップスのしくみ等の「音楽知識」を知っていることが必要ですし、逆に作曲家は音韻や言葉の「国語知識」がないといけない。そりゃあ逆だろうとつっこみを入れたくなりますが、あのモーツァルトも、オペラの台本にさんざん悪態をつきウンチクを語っています。バッハやモーツァルトの昔から議論されていた命題でもあるんですよ。難しいですね。

皆さんも、テレビラジオでポップスを聴くとき、カラオケで歌うとき、ここまでちゃんと構成を意識はしなくても、自然と、ほとんど無意識に構成を「読みとって」いるはずです。ですが、一度きちっと構成を意識して「聴く・歌う」を行ってみると、歌唱によりメリハリがついたり、詞がより深く理解できるようになるかも知れません。ちょっと面白いかもしれませんよ。