五線親父の縁側日誌

永遠の70年代男・テリー横田の日誌です。

筆者は田舎の初老爺、下手の横好きアマチュア作曲屋、70年代洋楽ポップス愛好家、70年代少女漫画愛好家、
女子ヴァリボ&フィギュアスケートオタ、Negicco在宅応援組です。

リオ五輪開催は喜ばしいけど


2016年五輪がリオデジャネイロに決定。東京落選は残念だが、南米初の五輪は意義がある。私はサンバ・ボサノバなどのブラジル音楽ファンなので嬉しい。もう途上国とは言わせないぞと国民も盛り上がっていくだろう。


ただ杞憂が一つ。リオの裏山にある貧民街「ファベーラ」がどうなるかだ。五輪のために強制退去取り壊し、なーんてことになりはしないか。私は行ったこともないので大きな事は言えないけど、このドブ板スラム街が、犯罪の温床であると同時に、実は「サンバ・ブラジル音楽の大切なルーツ」でもあるのだ。


ご存じの様に、リオは「カーニバル」である。この起源もたどれば、貧民街に住む黒人たちに行き着く。年に一回無礼講で、謝肉祭の間だけ山から下りて、為政者であるスペイン人たちに混じって、大通りで自由に歌い踊り騒げたわけだ。


カーニバルの出場チームたちはそれぞれ「エスコーラ(学校)」と呼ばれ、日本の祭り・踊りの「保存会」のように、結構体育会系の(笑)熱い練習があるという。今でもエスコーラはほとんどファベーラに本拠地があるのではないかしら。こういう底辺階層からこそ、本当の大衆音楽が生まれる。パリのシャンソンも、ニューオリンズのブルースもそうだ。やがてそれは世界に広がって、いろいろな他の音楽と混ざり合い、ポピュラー音楽は芳醇に発展する。


だから、五輪はいいけど、くだらない国威昂揚と外国への見栄のために貧民街をつぶす、なんてことは、断固いけない。


・・・今回貼った動画は、79年に、当時のエスコーラのミュージシャン(アマチュア・主に黒人)たちと、プロで活躍しているミュージシャンたち(主に白人)の交流会「クラブ・ジ・サンバ」の様子。テレビのドキュメンタリー番組みたいです。残念ながらポルトガル語が何を言っているのかは全然わかりませんが(苦笑)


D


番組中、金髪ウエーブヘアでウクレレみたいなのを弾いている女性が、ベッチ・カルバーリョという人。プロ歌手。ブラジルの「石川さゆり」みたいな位置の人かな(笑)この人は中産階級の生まれなんだけど、若い頃からサンバに魅せられ、不良娘呼ばわりされながらファベーラに入り浸って、エスコーラの黒人長老たちに食い下がってサンバを覚えたという強者らしい。ビデオの5分過ぎから彼女の歌が聴けます。低音の魅力なのねこの人は。


ブラジルのサンバは、こんな風に発展してきたんですね。