作曲へと導いた思春期の音楽たち
ピアノもギターも上手で、楽譜も読み書きできて、バンドもやってる。でもそういう人でも、作曲に興味があるかないかは別問題のようで、そこで方向が分かれるみたいですね。
自分のことを考えてみた場合、演奏よりも作ってみたかった。・・・いや作るんじゃないな、知りたかった。音楽の秘密……どこをどうすれば、ああいう響きに、ああいう歌になるんだろう?……てのを、解明したかった部分が大いにありました。
自分の一番古い音楽体験って、多分テレビからの南沙織(筒美京平)だったと思います。長い髪のヴィジュアルもそうですが、シンコペーションの多いあのリズムが楽しかった。
とそれと同時ぐらいに聞いて、耳に残っているのはセルジオ・メンデス「マシュケナダ」だと思う。この両者は自分の中では同類なのですね。ウキウキリズムと響きの感じが。
で、思春期に差し掛かった40年前(ああ遠い目)。アコースティクギターを手にし、周囲の影響もあって、当時最先端だった吉田拓郎とか井上陽水とか聞き出し・コピーし出します。しかしなんかちょっと、響きも暗いしウキウキしないなあ、と思っていたわけです。ビートルズもそう、好きだったけど肉感的にウキウキはしなかった。パープルなんかのハードロックになると余計に。周囲皆好きだったけど、実はイマイチでした(苦笑)
天啓だったのはやっぱスティーヴィーですね。「サンシャイン」「迷信」を聞いた時、頭の中で、セルジオ・メンデス&南沙織と、線でつながった感じがしたんです。「あー俺が欲しかったのはこれだわ!」って思って。
それ以来「なぜ俺はフォークとハードロックがイマイチで、スティービーとセルメンは好きなのか?その違いはどこにあるのか?」を、探求したいと思ったんですね。演奏よりも机上の楽理分析。作曲やアレンジへの興味の大元は、自分にとってはそこだったと思います。はい。