五線親父の縁側日誌

永遠の70年代男・テリー横田の日誌です。

筆者は田舎の初老爺、下手の横好きアマチュア作曲屋、70年代洋楽ポップス愛好家、70年代少女漫画愛好家、
女子ヴァリボ&フィギュアスケートオタ、Negicco在宅応援組です。

花鳥風月・歌詞の復権

・・・某国営放送で「春うた2007」という歌番組をやっていた。コブクロレミオロメン一青窈など、今のアーティストたちが、主に春をテーマにした持ち歌を歌うという、企画があるようでないような(笑)歌番組だ。

番組の演出とかには、ほとんど工夫はない。ただ彼らの歌を地味に流すだけといってもいいくらい。ところが、それが、良かった。感激した。

まずどのバンドも、歌詞が素晴らしい。とくに自然の情景描写がいい。こんな若いバンドの連中でも、季節のわびさびの中に人生を仮託したり、やることが見事に憎らしい。かつてネットを始めた頃私は、J-POPの歌詞に「花鳥風月」が消えたことを嘆いたものだった。今、それは完全に回復した。まさに「歌詞の復権」である。

~風のない線路道 五月の美空は青く寂しく

~動かないちぎれ雲 いつまでも浮かべてた

コブクロ「つぼみ」)

~夕べの月の 一昨日の残りの 春の匂いで目が覚める

~寒さの残る 窓際のベッドの 胸の辺りがざわついた

レミオロメン「茜」)

~くちなしの実 未だ君にできもしない約束ばかり

~百八つ結んだら 今年はせめて いじめないまま

~えこひいきした道を折れて 猫背がちに思い出ほどく

~指切りした日々添い星 今でもきっと僕の方が……

一青窈「さよならありがと」)

・・・ねー、研究のため抜粋は許されると思うので、あえて抜き出してみたが、皆情景描写ばかり。強い直接的な感情表現は一切ありません。それでいて行間に漂う哀しさよ! こんな歌が、かつて表されたことが、あったろうか。

ひょっとしたら、今現在の日本のポップシーンは、かつて無い爛熟期を向かえているのかも知れない。

「日本のロックはダサイ!なんといっても洋楽だ!」といって青春を送ってきてしまった私は。彼らに羨望と嫉妬を禁じ得ない。